筋膜の解剖生理
「さらっとわかる!筋膜の解剖生理学」
画像を多めにできるだけわかりやすく届けます!
◉筋膜とは?
筋膜はFascia(膜)と総称される繊維性結合組織のうちの1つである。
よく筋膜、筋膜って言いますが、筋膜のアプローチはfascia全体を指しているんですね。
痛みを感じる解剖学的な部位はほとんどがFasciaであると言われています。
だから筋膜に対するアプローチは効果があって広まってきているんですね。
さらに筋膜には情報お伝達機能や、形状記憶機能まであることがわかってきています。
筋膜は皮下の組織(表皮・真皮・脂肪組織)の下層に存在します。
また筋膜も浅筋膜・深筋膜・筋外膜・筋周膜・筋内膜と5つに分けることができます。
主に、痛みや動きに対するアプローチでは、深筋膜や筋外膜に介入することが多いです。
筋膜の構成要素は、
- 線維芽細胞
- コラーゲン・エラスチン線維
- 基質(ヒアルロン酸)
- 間質(水分)
に分けられます。
筋はすべての繊維が起始から停止へ向かうわけではないということをご存知でしたか?
実は、37%は直接深筋膜に停止するということがわかっています。
さらに筋膜は各セグメントを繋ぎ、協調してはたらきます。
これらを加味すると…
いわゆる腰痛が首の筋膜が原因だったり、足関節捻挫の際の後遺症としての筋膜の硬さが影響していたりすることが説明つきます。
筋膜では離れた部位に介入することで結果を出して、魔法みたいに見えますが、理にかなった展開なのです。
もちろん、痛みの近くにその原因があることも多いです。
それでは、生理学的にも見ていきましょう。
痛みに対するアプローチで介入する深筋膜には、機械的受容器が豊富に含まれていることがわかっています。
自由神経終末は痛みに。
筋紡錘は筋収縮に。
関節受容器は関節安定化に。
深筋膜が機能障害に陥ると、様々な問題が起こることがわかります。
さらに、深筋膜層ではヒアルロン酸を生成しており、多く含まれています。これが筋膜介入の鍵を大きく握っているのです。
ヒアルロン酸の役割には、
- 皮膚に潤いを与える
- 筋や腱の潤滑油として滑走を助ける
- 筋繊維の損傷から回復を補助する
といったものがあります。
そのヒアルロン酸は、通常運動で増加し、回復過程で吸収されます。
しかし、過度な運動などで酸化すると、粘性を増大させ、凝集化し、高密度化することがわかっています。
筋や腱の滑走を助けていたヒアルロン酸が変性すると、滑走不全が起こり、機能障害を引き起こします。
このヒアルロン酸の粘性増大は、
・overuse(過度な運動や同姿勢)
・不動や廃用
・外傷
・観血的手術
などで起こることがわかっています。
問診などで、これらを引き出すことも痛みに対するアプローチの大きなヒントになります。
先述の要素でヒアルロン酸の高密度化が起こると、可動性の縮小、筋出力の低下を招き、代償的な運動が要求されます。
多分節で過剰な運動が要求され、代償が効かなくなって初めて痛みとして現れます。
なので、痛みは結果であり、痛みの原因である最初のヒアルロン酸の高密度化を見つけ出すことが大切になってきます。
さらに筋周膜には筋紡錘が存在します。
ヒアルロン酸の高密度化は、痛みだけではなく、筋紡錘のはたらきを低下させ、筋出力の低下を招くことも多々あります。
また、筋外膜は関節包まで連続しており、関節包を伸張により固有受容器の興奮性が高まります。
筋膜の滑走性の低下は、関節痛や関節の不安定感(はまっていない、抜ける感じがするなど)を引き起こす可能性もあるのです。
まとめとして、
筋膜調整に期待できる効果は、
・痛みの解消
・筋出力の向上
・関節不安定性の安定化
が挙げられます。
これから学んでいく、筋膜に対するアプローチは、深筋膜層に存在するヒアルロン酸の高密度化を触知し、症状や推論過程を加味しながら、高密度化を解消していくことです。
筋膜調整の世界へようこそ。
より効果的な、クライアント貢献できるセラピストを目指していきましょう!!